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もし芸人に不思議な力があったら4

1 :名無しさん:2006/01/19(木) 20:41:46
現まとめサイト
ttp://geininstone.nobody.jp/


・芸人にもしもこんな力があったら、というのを軸にした小説投稿スレです
・設定だけを書きたい人も、文章だけ書きたい人もщ(゚Д゚щ)カモォン!!
・一応本編は「芸人たちの間にばら撒かれている石を中心にした話(@日常)」ということになってま


・力を使うには石が必要となります(石の種類は何でもOK)
・死ネタは禁止
・やおい禁止、しかるべき板でどうぞ
・sage必須でお願いします
・職人さんはコテハン(トリップ推奨)
・長編になる場合は、このスレのみの固定ハンドル・トリップを使用する事を推奨
 <トリップの付け方→名前欄に#(半角)好きな文字(全角でも半角でもOK)>
・既に使用されている石、登場芸人やその他の設定今までの作品などは全てまとめサイトにあります。
書く前に一度目を通しておいてください。

572 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/05/15(月) 15:58:31
>>449-455 の続き

【21:58 渋谷・センター街】

「……っ?」
彼の目の前にあったのは、地面に横たわったまま首をもたげて逃げろと叫ぶ平井と、彼に右足を掛けて立つ男。
その男が翳した右手には煌々と白い光が輝いていて。
逃げる事はもちろん何が起こっているのかを彼が把握する間もなく、光は帯状に放たれて彼を飲み込まんとばかりに襲いかかってくる。
眩しさに目をぎゅっと細めて、何が何だかわからないなりに彼にできる事と言えば、顔をガードするべく右手をもたげる事ぐらい。
「…止めろぉっ!」
己に足を乗せる白いパーカーを着た男…『白い悪意』に下から平井は制止の叫びを上げるものの。
破壊の悪意を露わにした光の帯は、目標を前に逸れる事はない。

けれど。
白い光とそれが発するプレッシャーに、アカンと思わず身を強張らせつつも。彼は、目の前の光景に妙な既視感を覚えていた。
己を飲み込もうと、そして破壊し尽くそうと迫りくる光の帯。それは非現実そのものと言った現象。
まともにそれを受け止められるほど頑丈な身体は有していないし、避けるにはもう時間はない。
それでも。
こういった場合、どうすればいいか。何を信じればいいのか。

――そうだ、僕は覚えている。

その瞬間。
平井の持つダルメシアンジャスパーとも『白い悪意』の持つホワイトファントムとも違う、もう一つの石が力を解きはなった。
白い輝きに負けじと周囲を照らす淡い緑色の色彩を帯びた光の奔流の源は、
彼の右手首でチタンブレスレットと一緒に揺れていた、麻紐のブレスレット。
その銀のプレートにあしらわれた蛍光のグリーンにも似た淡い緑色を帯びた石、サーペンティンである。
ちょうど身を庇おうと右腕を掲げたその姿勢が、そのままサーペンティンが白い光に立ち向かう形になって。

「……来ぃや!」
目に入る懐かしくそして頼もしくも見覚えのない色彩に、彼が…鼻エンジンの松丘 慎吾が無意識のまま石に命ずれば、
サーペンティンの放つ淡い緑色の光は彼の目の前に四角い形を以て凝縮し、盾となって白い光を迎え撃った。

573 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/05/15(月) 16:00:25

解き放たれた力と光の帯が衝突し、衝撃が起こす微かな風と共に周囲は今が夜だというのが嘘に思えるほどの眩い光で埋め尽くされる。
「……………。」
数秒の間をおいて、閃光で目を焼かぬよう目の前を覆っていた左腕を白いパーカーの男は降ろした。
視界に入るのは、今まで通りの路地の風景ではあったけれど。
本来なら光の帯で吹っ飛ばされ、路上に倒れているべきだった男が変わりなくその場に立ち続けていて。
彼の1m程手前の空間に、まるで彼を守ろうとしたかのように石と同じ淡い緑色の表紙をした
F8ほどのサイズの一冊のスケッチブックが重力を無視して浮かんでいた。
白い光を受け止めた事でなのか、それとも前からなのか。ボロボロに痛んだ表紙のそれを松丘は手を伸ばして掴み、引き寄せて身構える。
「……えっ?」
その動作も身構える姿勢も、初めての経験にしては余りにも自然で。誰よりもまず松丘自身が戸惑いを覚えるけれど。

「お前も石の加護を受けた、芸人か。」
白いパーカーの男はぼそりと呟くと、ならば消えろとでも言わんばかりに再び右手を松丘の方へと向けた。
またもや白いパーカーの男の手に白い輝きが集いだす。
「芸人も…芸人ごときに力を貸す愚かな石どもも…全てなくなってしまえ。」
「させないっ!」
けれど、その光が帯となって放たれる事はなかった。
路上に倒されたままの平井が、渾身の咆哮と共に己の胸に乗った白いパーカーの男の足を退かし、男のバランスを崩させたのだ。

「……くっ!」
不意の、それも意識を向けていなかった方向からのアプローチに、転倒を防ぐべく姿勢を立て直そうとする男の足元で
平井は素早く上体を起こし、立ち上がるのももどかしく半ば転がるようにして松丘の方へ駆け寄ろうとする。
「逃がすかっ!」
しかしそれは松丘と平井が同一線上に並ぶという事で。姿勢を立て直した白いパーカーの男は光を帯びた両手を突き出して吠えた。
その気迫に呼応するかのように、強い悪意を帯びた白い光が2人の方へと放たれる。

574 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/05/15(月) 16:01:08
「何が何だか良ぉわからへんけど……っ!」
再び襲い来る光の帯に対し、こういう時はこうすればいい筈…ほとんど直感に近い判断で松丘は手にしていたスケッチブックを
フリスビーの要領で男の方へと投げつけた。
スケッチブックは回転しながらアスファルトを這うようにして移動する平井の頭上を通り抜け、
投擲主の狙いと言うよりも、スケッチブック自身の意思が働いたかのようなコースを描き、迫りくる白い光と衝突する。
再び石の力が…ホワイトファントムとサーペンティンの力がぶつかり合い、辺りは光に包まれた。


「…………!」
光源が背後という事もあり、先ほどよりは光から眼を守られていた平井だったけれど。それでも目の前は白く染まる。
ぼやける視界のその中に松丘から差し伸ばされる手を見て取って、懸命に這い寄りながら腕を伸ばし手を取り返せば
ぐいと平井の身体は引っ張り上げられた。
「逃げるで!」
この閃光が目つぶしになっている間に。
ようやく両の足で地に立つ平井にすかさず松丘は告げると、彼の手を引いたまま走り出した。
「でも、奴が……」
まだ追い返せていない…そう言い返そうとする平井だったけれど、何故かそれ以上松丘に反抗する気になれなくて、
手を引かれるまま彼もまた、走り出す。

結果。
白い光と淡い緑色の光の残滓が闇に解け、すっかり路地から消え失せた時。白いパーカーの男の目の前には誰の姿も存在しなかった。
けれど、獲物を失った彼に焦りの色はなく、その口元には薄い笑みが浮かんでいる。
たとえ持ち主の姿は見えなくなっても、力を秘めた石が放つ独特の気配までは簡単にかき消す事は出来ない。
まだあの二人は近くにいる……辺りに漂う石の気配からそう判断し、白いパーカーの男はその気配を辿るようにゆっくりと歩き出した。
…誰も自分から逃げ延びさせはしない。自分以外の芸人を滅ぼし尽くすまでは。
そう小さく紡がれる言葉が、無人の路地に響いていた。






575 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/05/15(月) 16:03:13
【23:11 渋谷・某病院】

小沢達と彼…鼻エンジンの村田 渚との間に横たわるのは、数mほどの距離。
けれど数歩も歩けば届くはずのこの距離がやけに遠いモノに思えるのは、やむを得ない判断とはいえ袂を分かつ事となった
互いの状況が無意識のうちに気まずさとして影響しているからだろうか。

「…………。」
お久しぶりです。お変わりないですか。そんな他愛もない挨拶すら拒むかのように、ロビーに静寂が広がっているのも
その妙な空気を増幅させていて。
辺りに漂うそれらの流れを整えようとふぅとまた深く息を吐く、その呼吸音すら耳に届きそうな、変に張りつめた状況。
それを打開するべく村田はおもむろに口を開く。
「あいつらは今、治療を受けてる。今立くん達が救急車が来る前に処置してくれたから…致命傷はないと思う。」
今の所は、やけど。そう小さく付け加えて村田は一度相手の反応を待った。

「意識は、あるんですね?」
恐る恐るといった様子で問いかける赤岡に、村田は軽く頷いて見せて。
「しっかし吃驚したわ。あいつらがボロッボロになってDに戻ってきたかと思えば、渡部くん達がやってきて…。」
「それだけ、アレがみんなにとっての脅威になってるんです。僕らが何とかしなきゃいけないんです。」
誰に言うでもなく呟く彼の言葉を、さえぎるようにして小沢は告げた、
微妙に掠れるいつもの声ではっきりと言い切る小沢に、村田はす、と黒目がちの目を細める。
それは小沢の決意を頼もしげに見やっているようでもあったけれど、どこかその漆黒に哀れみの色が浮かんでいるようにも思え、
井戸田の眉がピクリと動き、土田の口元に薄く笑みが浮かぶ。

576 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/05/15(月) 16:03:45
数秒ほど、再び沈黙が周囲に流れたけれど。
「もう少ししたらあいつらの手当ても終わるやろ。
 あいつらの話は渡部くん達が居る時にいっぺん聞いてるから、戻ってくるまで代わりに喋ったるわ。」
お前らまで話を聞きに来たとなれば、アレも調子に乗って余計な事言いかねへんからな。
当然の事ではあろうがトーンの低い口ぶりながらも、村田はまわりの気を楽にさせるためか軽口めいた言葉を発して
一同にとりあえず適当に座るといいよ、と目線で周囲の椅子を示してみせる。

「あいつらが見た『白い悪意』は…身長は170cmほどの、標準語を喋る…男だったそうや。」
ばらばらと訪問者達が椅子に座ったのを見届けて、己も先ほどと同じ椅子に腰掛けると村田はゆっくりと喋りだした。
記憶を辿るように俯きながらぽつぽつと紡がれる言葉は、今まで得ようとして得られなかった『白い悪意』の情報。
一言も聞き漏らすまいと村田を凝視する小沢を横目で見やり、続いて何か言いたげにニヤニヤ笑いを浮かべたままの土田を見て。
設楽は小さく誰にも悟られぬようなため息をついた。






577 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/05/15(月) 16:06:11
【22:01 渋谷・センター街】

まだ夜は始まったばかりと言わんばかりの人があふれる渋谷の町並みの中、『白い悪意』から逃れた松丘達が駆け込んだのは、
フロアごとに居酒屋が入居している一軒の雑居ビルだった。
エレベーターで最上階まで昇り、しかし店には入らずに。非常階段の踊り場に出て、ようやく2人は息をつく。

「…助かったぁ。」
へたりと床に座り込んで、松丘は溜息交じりの声を発した。
運動とは無縁の三十代半ば。いくら逃げるためという火事場の何とやらが発動するような状況だったとはいえ
息は完全に上がり、体中からは汗が滲んでいる。
「でも…あいつが……。」
そんな安堵の色を素直に見せる松丘に対し、平井は壁にもたれかかった姿勢で悔しそうな呟きを漏らした。
こちらは常日頃からネタの練習と称して身体を動かしているせいか、疲弊はそれほどでもないようだ。
けれど、己の持つ石の能力で高温に晒された後遺症か、シャツは汗でべったりと身体に張り付いていて
傍目から見れば、二人とも一体何をしてきたのだといわんばかりの光景である。

「『白い悪意』を追い返す事が出来なかった…。」
ぐっと拳を握り締めてなおも平井は呟きを漏らし、ふと松丘の方へと視線を向ける。
するとその先では、A4ほどの緑色の表紙のスケッチブックを扇代わりにパタパタと扇いでいる松丘の姿があって。
その緊張感の欠片もない姿に何ともいえない脱力感に襲われ、平井は肩を落とした。

「何やってるんですか…というよりも、その石…どうやって手に入れたんです?」
もちろん、松丘の手にあるスケッチブックは、彼の右の手首で揺れるブレスレットに煌くサーペンティンが
先ほどと同じように作り出したモノだろう。
「んぁ…これ? こないだ人から貰った…っていうか、押しつけられてん。あなたのだから持っとき、って。」
呆れた口調ながらも問いかけてくる平井を見上げ、松丘は扇ぐ手を止めずにそう答えて。
そこでふと何かを思い出したかのように首をかしげ、「いや、違うか?」と口にするものの。
結局まぁそんな所、とはぐらかすように付け加えて笑った。

578 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/05/15(月) 16:08:59
「せやけど…ホンマにおってんな。『白い悪意』って奴は。」
「…居ましたよ。何人も、奴の被害に遭ってるんです。」
平井の方も扇いでやりつつポツリと松丘が漏らす今更ながらな呟きに、平井は頷いて言葉を絞り出す。
石を持つ芸人でさえ、石が実際に現実離れした力を見せてくれるからかろうじて納得する事が出来るだけで
冷静に常識に即して考えれば、石が不思議な力を与えてくれるという事などあり得ない事なのだから。
力を持つ石を持っていない人間からすれば、石の力も、それを悪用して無差別に芸人に被害をもたらす存在が居ると聞いても
無条件で信じる事は出来ないだろう。
「Dにはまだ人が居るし、あそこを奴に狙われたら大変な事になる…そう思って、食い止めようと思ったんだけど。」
「…どうして?」
「石を…俺が力のある石を持っているからです。」
何故そんな無茶な真似をする必要がある? そう不思議そうに問う松丘に平井はさも当然のように答え、
首元で揺れるダルメシアンジャスパーに指で触れた。
「ネタ見せの時、ライブの時…他に誰か石を持っていないかずっとみんなを見てたけど、俺しか石を持っていないような感じだった。
 だったら俺が石を以てみんなにちょっかい掛けてくる奴を石の力で追い払う…当然でしょう?」
主に応えるかのように淡く光を放つウズラ模様の石に感謝するかのように平井は目を細め、松丘に告げる。
「それに、そのぐらいしか、俺がみんなの為にできる事はなさそうだったから。」

「…そんな事はないて。」
自己陶酔している感もなきにしもあらずだったけれど。決意を含んだ平井の言葉に松丘は反論しようと口を開く。
けれど平井は首を横に振り、駄目なんですよと松丘の言葉を遮った。
「今まで俺、ずっとフリーでやってきたから…事務所って所でどう振る舞って良いのかわからないんですよ。
 後輩になる連中にどう接して良いのかわからない。ライブの後にメシに誘ったり…どう場を取りまとめて良いかもわからない。
 だから、せめて陰からで良いからみんなを…俺を含めたみんなの居場所を守りたい。そう思ってるんです。」

579 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/05/15(月) 16:09:46
「……………。」
それはたいがぁーの考え過ぎやろと松丘は口にしかけて、止める。
事務所内で後輩として可愛がられる事も、先輩として引っ張っていく立場も存分に経験してきた松丘とすれば
深く考える事なくこれまでこなしてきた事柄に対し悩む、平井の言葉はにわかに信じがたい気もしたが。
それを言い訳と呼ぶには彼の口調はあまりに真面目そのもので。そういうモノなのだろうか、と何とか納得する事にした。
そもそも、自分達が属する事になったのは産声を上げたばかりの事務所。
手当たり次第にかき集めたといっていい勢いで次々と若い芸人達が集まってくる上に
ランク分けされたライブのお陰で流動も激しいその中で、自分の立ち位置を探すだけでも本来一苦労する事だろう。

「誰も知らない所で戦ぉとるやなんて…隠密みたいやね。」
故に。柔和な表情で松丘は平井に告げ、「今度響達を誘う所、お手本に見せたるわ」と付け加えた。
「えぇ、赤い装束を身に纏った忍者って心意気で。」
その折には宜しくお願いします、と軽く頭を下げて平井は答え、ぐっと拳を握りしめる。
その返答にまったく忍べていない派手な格好の忍者を想像して松丘は一度フフと軽やかに笑い、急に肩を竦めた。
「せやけど酷いなぁ、たいがぁーは。」
「………?」
「そんな話聞いてしもたら、一人僕だけ先に帰るなんてできひんやないか。」
延々スケッチブックで扇いでいたお陰か、そろそろ汗も少しは引いてきたようだ。
それでもB5の下敷きぐらいのスケッチブックで顔面や胸元に風を送り続けながら、松丘は平井を見上げて唇を尖らせる。

「あ…すみません。」
「えぇよ。一人より二人で…アイツを何とかせな、ね。」
思わず詫びの言葉を漏らした平井に松丘は告げて、手にしているスケッチブックに視線を向けた。
とりあえず右手首のブレスレットにあしらわれた石の力でこれを呼び出す事ができる、のはわかる。
呼び出されたスケッチブックにはそこそこの強度があり、『白い悪意』の攻撃を多少防ぐ事ぐらいはできるのも、わかる。
しかし、スケッチブックで一体何ができるのか。そもそも何故スケッチブックなのか。
まったく意味がわからなければ、思い出せるような記憶もない。

580 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/05/15(月) 16:10:42
中に何かヒントがあるだろうか、と松丘がおもむろに表紙をめくってみようとすると。
「松丘さん…それ、最初からそんな小さかったでしたっけ。」
そんな平井の声が耳に届いて、松丘は表紙に触れようとした手を止める。

…そういえば、確かにさっきはもうちょっと大きかったような。
平井の指摘に改めてスケッチブックを見やり、松丘がそう思考を紡いだ、その時。
淡い緑色をした表紙のスケッチブックはA5ほどのサイズに縮小し、松丘の手からこぼれてぱさりと床に落ちた。





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